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聞き手:

シェ-ナークライスフィルハーモニー管弦楽団 楽員(指揮者)

シェ-ナークライスフィルハーモニー管弦楽団 理事

益田 雄真

益田:ホルンの坂田さんです。それではよろしくお願いします。最初に、簡単に楽器経歴について教えていただけますか?

 

坂田:よろしくお願いします!ホルンは中学の吹奏楽部がきっかけで始めました。高校では合唱部と陸上部に所属していたので、合奏などはほとんどせず、個人練習だけ細々と続けていました。大学に入ってからは、ソロや室内楽、オーケストラ等、分野を問わず演奏活動を続けています。

 

益田:なるほど、ありがとうございます。さまざまなジャンルを幅広くやられているとのことですが、その中でも特に力を入れていらっしゃるジャンルはありますか?

 

坂田:強いて挙げるとすれば室内楽ですね。その中でも、特に三重奏を演奏することが多いです。全員が対等でありながらも、相手の音楽に身を委ねてみたり、あるいはこちらから何か仕掛けてみたりといった、密な駆け引きを楽しめるのがこの編成の魅力だと思っています。ホルンは金管楽器ですが、ピアノはもちろんのこと、弦楽器や木管楽器、声楽など、どんな楽器ともマッチしてくれるので、日々様々な編成のアンサンブルに挑戦しています。

 

益田:その通りですね。いつでも共演者全員の音楽性を肌で感じていられる距離感が、少人数アンサンブルの魅力ですよね。ホルンという楽器もまた、絶妙なポジションで、あらゆる音楽に対応できるのが魅力です。

 

坂田:この楽団で演奏していると、管弦楽も室内楽の延長なんだなということを実感させられます。大人数の合奏だと、どうしても指揮者や各楽器のトップが主導する形になってしまい、個々の奏者の持つ音楽が全体に反映されないことが多いと思います。しかし、この楽団は奏者全員が対等に意見を出し合うスタイルで音楽作りをしているので、あくまでもこれはアンサンブルなんだという意識が自然と芽生えてくるんですよ。まあ、団の創立当初は練習の参加人数が10人いるかいないかという、完全に室内楽規模のアンサンブルでしたけどね(笑)。

 

益田:そうですね、個性的な奏者が多いことと団の方針が相まって、室内楽的なオーケストラにまとまることに成功したと思います。まだまだ課題は多いですが。創立当初の人数の少なさは、本当にそのレベルでしたね(笑)。いまでは50名ほどの奏者が集まっているわけで、だいぶ成長しました。オーケストラとしての体裁が整わないころから根気よく練習に付き合ってくださった方々には、本当に感謝しています。どんどんオケを成長させて、皆さんのやりたい音楽を実現できる場にしていきたいですね。

 

坂田:はい、どんなオーケストラに成長していくのか、これからが本当に楽しみです。

 

益田:さてさて、今回のプログラムについてなのですが、ハイドンのホルン協奏曲第2番。なかなか演奏される機会がありませんね。

 

坂田:そうですね。もっと演奏されていい作品だと思うのですが、私もまだ一度しか実演を聴いたことがありません。今回、少しマイナーな曲に挑戦してみたいという好奇心からこの作品を選曲させていただきましたが、私自身も初めて取り組む作品なので、皆さんと一から作り上げていけたらと思っています。

 

益田:そうですね。マイナーな曲に挑戦するのって、有名曲をつくるのとまた違う魅力がありますよね。偽作説が有力というのもまた、面白いですね。

 

坂田:そうなんです。かつてはヨーゼフ・ハイドンのホルン協奏曲第2番(Hob.VIId:4)として認識されていたこの曲ですが、現在では彼の5つ下の弟であるミヒャエル・ハイドン作(MH.53)という説が有力視されています。当時、利益を伸ばすために作者を偽って出版するということはよく行われていました。偽作と言うと、一般的にこのような偽装行為を指すことが多いと思います。しかし、ミヒャエルは自らの作品を出版することに消極的であったこと、知名度が兄のヨーゼフに劣っていなかったことなどから、もっと違う理由があったのではないかと私は考えています。もしそうだとすると、ミヒャエル、ヨーゼフ、出版社のうち誰がどのような思わくで偽ったのか、兄弟間で合意はなされていたのか、単純に誰か後人の勘違いによるものなのかなど、様々な可能性が考えられて興味をかき立てられます。

 

益田:興味深い考察ですね。一般的な「偽作」の目的とは異なる目的で、作曲者がヨーゼフだとされた可能性が高いというのが、坂田さんの見解というわけですね。たしかに、ミヒャエルは兄ほどではなくても、著名な音楽家としてそれなりの数の作品を(自身の名で)残しているように思いますし、ただ楽譜を売るためだけに作者を偽ったとは考えにくいですね。

さて、曲の中身のお話ですが、この曲において聴衆に注目していただきたいところはどこでしょうか?

 

坂田:まずはホルンと弦楽による素朴で優美な響きをお楽しみいただけたらと思います。ホルンという楽器自体、普段ソロで聴く機会が少ないと思いますので、これを機にちょっとでも興味を持っていただけたら幸いです。また、この曲は楽章ごとにまったく違ったキャラクターを持っていますので、場面ごとの表情の移り変わりにも注目してお聴きいただければと思います。

 

益田:そうですね、私もシンプルな美しさがこの曲の魅力だと思います。もちろんヒンデミットだとかシュトラウスといった作曲家が書いたホルン協奏曲とはまた違った魅力が光りますし、モーツァルトともまた少し違いますね。響きが実直で、よりダイレクトな表現ができる気がします。

 

坂田:はい。演奏する立場からすると、その全て筒抜けになってしまうところがある意味怖かったりするのですが、それがすごく面白い面でもあるので、これからの練習に身が入ります。

 

益田:そうですね、私も緻密に勉強をしていきたいと思います。一緒に演奏できるのがとてもたのしみです。まだまだ話は尽きないですが、お時間なのでまた日を改めましょう。きょうはありがとうございました!

 

坂田:こちらこそありがとうございました!

 

2021年5月15日 

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